《PB》って何?

  • 伊藤総研(以下、伊藤)

    田島編集長、BRUTUSは何年振り?

  • 田島朗(以下、田島)

    約6年ぶりかな? マガジンハウス2年目からBRUTUS編集部に配属されて、18年間BRUTUSの編集をやってた。2016年からはHanakoの編集長としてリニューアルに携わり、そして2021年12月10日付けでBRUTUSの編集長に。実際には、今年4月1日売りの号から担当しているよ。

  • 伊藤

    どう? 久しぶりのBRUTUSは?

  • 田島

    編集部員の年齢も20代4人・30代1人・40代5人と、若手と職人が配置された僕にとってはバランスの良い編集部で。伊藤くんと一緒に17、8年前に定例のカルチャーページ(MIX&MASH)を立ち上げたあの頃の編集部とはもちろん様変わりしているから、ホームに帰ってきた! って感じはないかもね。でもBRUTUSのことはずっと気にして見ていたから、やってみたいことはたくさんあるよ。

  • 伊藤

    田島編集長体制になって、BRUTUSは変わるの?

  • 田島

    西田(善太)前編集長が14年間築いてきた歴史はBRUTUSにとっては大きな財産だから、誌面はその基本方針を継承しつつ、僕なりの色が出てくればと思っているよ。

  • 伊藤

    田島くんは本当にいろいろやっていたよね。旅の特集で何食わぬ顔で3週間以上南極出張に行ったり、車の特集で「キリンに振り向いてもらいたい」とか言ってスーパーカーをサファリパークで撮影したり……あの頃の“BRUTUS田島くん”は、“Hanako田島くん”しか知らない人がいたら、想像できないようなヤンチャな特集を作っていたもんね(笑)。

  • 田島

    (汗)。さすがに時代が違うから、あの頃のままのことはやらないけど、らしさは出していきたいね……。

  • 伊藤

    田島くんのHanakoと言えば、雑誌にこだわらず、あらゆるメディアを使って全方位的に発信していたイメージがあるんだけど、BRUTUSでもやっていくの?

  • 田島

    そのつもりだよ。BRUTUSのコアバリューに「NEW PERSPECTIVE FOR ALL /あらたな視点を求める、すべての人に」を掲げて、雑誌、WEBサイト、SNSなど自分たちのオウンドメディアを最大限に駆使してみようかと。「あらたな視点」を武器にBRUTUSをもっと開いていくつもり。

  • 伊藤

    その中で《PB》は田島編集長としてのBRUTUSが強く打ち出していく、画期的な取り組みだね。

  • 田島

    うん。BRUTUSという“看板”にこだわらず、クリエイティブな活動をしていきたいと思っていて、言い換えるなら、制作のあらゆる局面のプロフェッショナルである“現役編集者”の力をBRUTUSというメディアだけに使うのではなく、いろんなクライアントに向けて開放していければと思っている。

  • 伊藤

    今、田島くんと一緒に《PB》を準備していて、改めて思うけど、編集型の仕事って本当にたくさん求められている時代になっている。企業やブランドのオウンドメディアやカタログ、定期的に発信するSNS、プロモーショナルなイベントや空間作り、あと、田島くんがHanakoで手がけてきた商品開発や都市開発などのお手伝いも編集型の仕事だよね。もしかしたら、《PB》は本誌を作るよりも面白くなったりするんじゃない?

  • 田島

    いやいや、僕らは本誌があってのBRUTUSだから(笑)。雑誌を作るのは編集スキルだけじゃダメで、そこにパッションやパワーがあってこそ。その〝なんでも面白がれる〟現役編集者の能力をクライアントワークに活かしていくことは我々の《PB》でしかできないことだと思ってて。そして《PB》を進めることによって、編集者の経験やスキルもますます上がっていくから、相乗効果で本誌やBRUTUS.JPも今まで以上に面白くなっていくと思う。《PB》を心から楽しみながら、準備しているよ。

《PB》とは、BRUTUS編集部の
“クリエイティブ・ブティック”としての
もうひとつの活動体です。

BRUTUS現役編集者の経験と人脈を課題解決に活用できる。《PB》の魅力は、そこにあります。『BRUTUS』ロゴを使ったり『BRUTUS』誌面への掲載には捉われません。純粋に編集部が持つクリエイティブ力を使って、それぞれの正解に導いていきます。

クリエイティブディレクターには、過去、BRUTUSで多くの人気特集を制作し、現在はさまざまな企業の課題解決に携わる伊藤総研氏を招聘。BRUTUS編集部員と外部クリエイターとを束ねながら《PB》を推進していきます。

《PB》とは、BRUTUSの編集力そのものです。

BRUTUSは、月2回、年間23冊を10人の編集部員で作っていきます。食、旅、建築、音楽、アート、ビジネス、ファッション、クルマ、時計……、BRUTUSで扱えないテーマは存在しないと言い切れる、日本でも稀有な雑誌だと思っています。各編集者は自分の得意な分野から初めての分野まで、数ヶ月の間、それぞれのテーマと向き合ってひとつの特集を制作します。詳しい人に会って話を聞きまくり、面白い人やコトを見つけて取材する。そしてBRUTUSならではの〝あらたな視点〟を見つけ出し、読者に提案していく。そうして1冊が出来上がる頃には、各編集者はその分野に対しての豊富な知識と人脈を得ることになるのです。そういった幸せな体験を繰り返してきた編集者たちが集まるクリエイティブ・ブティックが、《PB》です。まずは気軽に、編集部に遊びに来てください。私や伊藤くん、BRUTUS編集部員とおしゃべりしましょう。そこからきっと、ワクワクするナニカを、一緒に生み出せるはずですから。

田島 朗 / Ro TajimaBRUTUS編集長

1974年浦和市生まれ。97年マガジンハウス入社、98年BRUTUS配属、2010年副編集長に。主な担当号は『おいしい酒場』『あんこ好き』『キャンプしようよ』『一世一代の旅、その先の絶景へ』『男だってディズニー』など。約18年間BRUTUS編集部在籍ののち、2016年Hanako編集長に就任、リニューアルに着手。雑誌だけにとどまらずデジタル・読者コミュニティ・商品開発・海外事業・クリエイティブレーベル事業を手掛け、現在につながるブランド展開をプロデュース。21年12月より第四編集局長としてBRUTUS、Hanako発行人及びBRUTUS編集長を兼務。

BRUTUSを開放してみたら、どうなるか。

BRUTUSに20年ほど関わらせていただきながら、不思議に思っていることがあります。それはBRUTUS編集部が、人が入れ替わりながらも、高いクオリティで、それも月2冊というスピード感で、BRUTUSを出し続けていること。この不思議はもう“編集力”という言葉で片付けるしかないと思っています。そのBRUTUS の“編集力”を自分たちだけの媒体で独り占めしないで、もっと広く活かされるようにしましょう(使ってもらえるようにしましょう)というのが《PB》だと思っています。BRUTUSを開放してみたら、どうなるか。田島編集長、BRUTUSの編集部員がはじめるこの新しい取り組みにご一緒させていただくことを大変光栄に思います。そして、BRUTUS編集部が生み出す新しいクリエイティブを僕自身も楽しみにしています。

伊藤総研 / Ito-sokenPB クリエイティブディレクター

1974年福岡県生まれ。広告キャンペーン制作、企業のコーポレートブランディング、雑誌や書籍の企画・編集、映像・WEB制作、現在に至るまで活動は多岐に渡る。主な仕事として、ソニー企業「GINZA SONY PARK PROJECT」、エルメス「ラジオエルメス」「HERMES HUMAN ODESSAY」、SEIKO140周年プロジェクト「やさしい時間/時問時答」、松屋銀座150周年プロジェクト「デザインの松屋」、⻁ノ門ヒルズ「⻁ノ門横丁」、NHK交響楽団「みんなのN響アワー」、伊藤忠商事「ひとりの商人、無数の使命」(企業広告)など。また、雑誌『BRUTUS』では「今日の糸井重里」「山下達郎のBrutus Song Book」「三谷幸喜失踪事件!?」「福岡の正解」「買えるブルータス」「あたらしい仕事と僕らの未来」「特集 村上春樹」など、年に数冊、企画立案から編集作業までを携わり、過去30冊以上の特集を担当している。
https://www.itskn.jp/